就活:親のホンネ 自分の育てた娘信じ

親の役割ってなんなのだろうかと思います。

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親のホンネ 自分の育てた娘信じ

 ◇母も試されている

 我が子が就職活動を始めると、親はまず自分の時代とは様変わりした昨今の就活事情に驚かされる。慣れないスーツ姿で奮闘する姿に、「自分たちの時代より大変なんだな」とため息が出る。ただ、そこで「もう大人だから」と見守るか、「今こそ出番だ」と腕まくりするかは人それぞれだ。就活生の親たちに胸の内を聞いた。【稲田佳代】

 「就活は面白かった。娘が成長する姿を見られたから」

 専業主婦の坂本聖子さん(53)=仮名=は一昨年秋から昨年春にかけ、長女(23)の就活を見守った。今春、長女は東京都内の女子大を卒業し、出版社で働き始めた。

 聖子さんは最初、志望動機などを詳しく書く「エントリーシート」や、インターネット上で受ける適性検査「ウェブテスト」を知らなかった。就職難のニュースに漠然と心配する程度だった。

 事情も分からないので、大学推薦の求人案内メールが家族共用のパソコンに届くようになると、長女に「受けてみたら」と気軽に勧めた。女子大には大手金融機関の一般職の求人が多い。就職先として聞こえも悪くない。ところが長女からの返事は「そんなの嫌だ」。

 母親の目から見れば長女はまだ「あまちゃん」。女の子だし、あまり苦労もさせたくない。しかし、実際は「娘は就活に燃えていた」と聖子さんは証言する。新聞を丹念に読み、業界研究に真剣に取り組んでいた。面接で落ち込んで帰って来た翌日も、けなげに別の面接に出かけて行く。その背中を「偉いな、見直した」と見つめた。

 面接の様子や就活での悩み事には耳を傾けたが、「口出しはしないで」という長女の忠告は守った。強く言ったのは一度だけ。大手旅行会社を受けるよう勧めた時だ。

 当時、長女は行きたい企業に最終面接で落とされ、精神的に参っていた。そばで見ていた聖子さんは、長女が緊張でガチガチになっていることに気が付いていた。

 「とにかく一つ内定を取れば心に余裕ができると思った。娘に適性があり採用数も多い会社なので、きっと内定が出ると思い旅行会社を勧めた」

 母の眼力恐るべし。気乗りしない長女は文句を言いつつも採用試験を受けに行き、見事内定を得た。「どこにも入れないかも」という不安が晴れたことで、本命の出版社の面接は自然体で臨めた。無事、内定も出た。

 長女は就活で不合格が続くと冷静さを失い、不向きな業種にも手を出していた。「なんで、できもしない営業職なんか受けるのかしら」と思うこともあったが、口出しは我慢した。もし内定が出たらアドバイスしようと決めていたが、結果的に適性のない企業は全て不合格だった。「人事担当者はきちんと見ている」と気づかされた。就活後、娘と一緒に「あの会社を受けたのは無駄だったね」と笑い合ったが、娘はこうも言った。「だって私、必死だったもん」

 母娘の最後の大仕事は、本命だった出版社と、記念のつもりで受けたら合格した航空会社の客室乗務員のどちらを就職先に選ぶかだった。

 実は、聖子さんも元客室乗務員。就活した30年以上前は女性が活躍できる数少ない職場の一つで、待遇も良かった。しかし、今の内情はよく分からない。そこで現在も働くかつての同僚に話を聞き、格安航空会社の参入で競争が激しくなり、昔ほどの好待遇ではないことを長女に伝えた。

 自分の経験も話した。仕事はマニュアルに慣れれば十分で、あまり個性は発揮できなかったこと、入社2年目には「自分の代わりはいくらでもいる」と感じたこと。「好奇心もチャレンジ精神も旺盛な娘なら、1年で飽きてしまうのでは」。とにかく実際に働く姿を見せようと、航空券も渡した。結局、長女は自分で出版社を選んだ。

 「就活中、私は私でつらい時もあった」と聖子さん。自分には長女の良いところが分かっているのに、「面接で全然話を聞いてもらえなかった」と聞くと胸が痛んだ。

 「でも私、娘を信じていました。就活を乗り切って内定をもらえるだけの素地は作ってきたし、娘も努力していたから」

 子を信じ、自分の子育ても信じる。就活は親も試されるようだ。

 ◇編集長の一言

 就活は親も試される−−稲田記者が最後に鋭く指摘しています。大学3年の娘を持つ身としてはドキッ。今さら猫なで声で話しかけても仕方ないしなあ。【滝野隆浩】

ソース
http://mainichi.jp/area/tokyo/news/20130920ddlk13100180000c.html